万年主任の経済寺子屋

経済のことについて、いちから学べるような記事を書いていきます。

『為替って何?』

よくニュースを見ていると、アナウンサーが、

「それでは今日の株と為替の動きです」

などと言っているのを聞いたこと、ありませんか?

 

株は何となく分かるけど、為替ってイマイチ分からないな、

という方もいるかもしれません。

 

例えば、アンリカに海外旅行へ行ったときに、

日本のお金をそのまま持って行っても、買い物はできないですよね。

事前に銀行などで、円を米ドルに両替してもらう必要があります。

これを外貨両替といいます。

 

この時に、1ドルが100円ならば、1万円なら100ドルにしますよ、

となるわけです。

 

この1ドルが100円というのは固定ではなく、

110円になったり120円になったりと、日々変化しています。

この変化する相場を為替相場(レート)といいます。

 

厳密にいえば、為替相場は毎秒変化しているのですが、

旅行などの時に秒単位でレートが変わってたら、大変ですよね。

なので、銀行が朝、その日の両替のレートを決めて、

その日のうちはそのレートが適用されます。

これが仲値といわれるものです。

 

為替相場が1ドル100円の時は、アメリカで1ドルの物を買うには

100円で買えますが、1ドル120円の時は、

同じものを買うのに120円が必要になります。

100円で変えていたものが、120円ないと買えなくなっているわけですから、

円の価値が下がっていることになります。

 

これを円安といいます。

 

逆に、もし1ドルが80円になった場合、同じものが

今度は80円で買えることになるので、

円の価値が上がったといえます。

 

これを円高といいます。

 

なんかわかりにくいし、いっそ固定じゃダメなの? と思いませんか?

実は、固定されていた時代があったんです。

 

1970年代までは、固定相場制で、

1ドルは360円でした。

今から思えば長ドル高(円安)ですよね。

それだけアメリカの経済が強かったんです。

 

円安だと、日本の製品はアメリカで安く売れるので、

日本製品アメリカでたくさん売れました。

自動車とか家電製品とか輸出している企業は絶好調でした。

国内の建設、内需も好調で、高度経済成長の時代ですね。

毎年GDPが二桁成長していたんです。

すごい時代ですよね。

今は1%前後の成長ですよ……。

 

そうなると、ドル高固定ではやっていけなくなって、

たまらず固定相場制をやめたわけですね。

ドル高は、アメリカにとって輸出に不利になりますからね。

 

そういった経緯から、相場が動く「変動相場制」へ移行されました。

 

では、どういった要因で相場が変動するのかですが、

ざっくりいうと、通貨の価値はその国の経済の強さが反映されています。

 

例えば、多くの人がアメリカで商売をすれば儲かりそう、と思ったとします。

アメリカで商売をするには米ドルが必要ですから、

自国の通貨を売って、米ドルを買うことになります。

日本人であれば、円を売って米ドルを買うわけですね。

 

買う人が多くなれば、物の価値が上がるのは、商品でも通貨でも同じです。

 

結果、米ドルの価値が上がることになります。(米ドル高)

 

逆に、アフリカなど途上国で商売をしよう、と考える人はそれほど多くありません。

そうなると需要も低いので、通貨の価値も低くなります。

政情の不安定な国の通貨の価値も、低くなりがちです。

買ったとたん大暴落ということも、起こりえますから……。

 

基本的には以上のような要因で値動きするはずなのですが、

最近はこういった教科書通りの動きをしないことも多いです。

 

為替差益を狙った投機的なトレード(FX)が、

為替取引における多くの割合を占めるようになったからです。

 

これについては、別で取り上げる予定ですが、

分からないうちは絶対に手を出さないほうが良いです。

絶対に損をするというものではないですが、

勉強しないでやるようなものでもありません。

 

ここで、米ドル円相場の推移を振り返ってみましょう。

 

2019年3月現在、1ドルは110円前後ですが、

1970年代までは360円でした。

そこから変動相場制になり、1980年代前半まで

緩やかに円高方向に進み、250円ほどになりました。

 

そして1985年。

先進各国が、日本は儲けすぎだからもっと円高にしてやろうぜ、

と結託した会合があり、一気に円高が進みました。

世にいうプラザ合意ですね。

そこから数年で、円は125円前後になりました。

 

そして1990年代には、80円を切るレベルまで

円高が進行しました。

この時は、ガソリンがリッター80円台ですごく安かったのが印象的です。

今は130円くらいしますからね。

 

2012年からはアベノミクスで円安方向に進み、120円くらいになりました。

そして、現在は110円前後ですね。

 

為替は色々な要因で動いているので、

経済ニュースを為替を絡めて考えてみると面白いと思います。

 

それでは今日の為替の話はこの辺で。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。