『景気対策って何?』
こんにちは、万年主任です。
前回は、景気対策は誰をターゲットにするかによなくなって、いくつか種類があるという話でしたが、今回はもう少し詳しく解説していきます。
景気対策には「金融政策」と「財政政策」があります。
まずは、金融政策の話からです。
金融政策というのは、世の中に流通しているお金の量を調整して、
経済を安定成長させるために行う政策のことです。
基本的にお金の量を増やせば、国民にお金が行き渡り、物がたくさん買えるようになり、結果企業が儲かり景気が良くなります。
逆にお金の量を減らすと、お金がなくなくなるので物が買えなくなり、企業が儲からず、景気が悪くなります。
ここまではいつものロジックですね。
では、どうやってお金の量を調整するのか? ということですが、2つあります。
一つ目が金利の操作です。
日銀は政策金利を操作することによって、お金の量を調整しています。
以前は「公定歩合」といって、銀行が日銀からお金を借りる時の金利を上げ下げすることによって操作していました。
公定歩合を上げることで、銀行は日銀に多くの利息を支払わなければならなくなります。そうなると、銀行からお金を借りる企業や国民も高い金利で借りないといけません。
結果、借りる人は減り、お金の流通は減ることになります。
逆に公定歩合を下げると、銀行・国民が安い金利でお金を借りられるので、お金の流通量は増えることになります。
ただし、先ほど『以前は』といった通り、1996年の金融緩和によって、
銀行が自由に設定できるようになりました。
そのため、日銀は直接金利に関与することはできなくなりましたが、
間接的に関与する形になりました。
その方法ですが、少々複雑です。
銀行には、決められた額を日銀に預けておかなければならないという法律があります。
これを「法定準備金」といいます。
銀行は、個人や企業にお金を貸して、その利子で儲けているのですが、
お金を貸しすぎると、日銀に預けなければならない法定準備金が足りなくなる時が出てきます。
そんな時に、一時的にほかの銀行からお金を借りて急場を凌ぎます。
このほかの銀行からお金を借りる時の金利を「無担保コール翌日物金利」といいます。
日銀は、この無担保コール翌日物金利を操作するのです。
公定歩合のように、直接操作はできませんが、間接的にお金の量を調整しているのです。
そして、二つ目に出回っている現金の量を増やすという方法があります。
日銀は、銀行が持っている債件を購入することにより、銀行の手持ちの現金を増やします。
銀行は債券を持っていても、銀行や個人にお金を貸すことはできませんが、債券が現金になれば貸すことができるようになります。
その結果、企業や個人はお金を借りられるようになり、消費がアップして景気がよくなります。
この施策を、「公開市場操作」といいます。
以上のように、お金の流通を増やす政策のことを「金融緩和政策」といいます。
これに対して、お金の流通量を減らす政策のことを「金融引き締め政策」といいます。
金融緩和政策とは逆に、銀行に債券を売ることで、銀行が持っている現金の量を減らします。すると、銀行は企業や個人に貸せる現金が減るため、景気が減速します。
ここまでが、基本的な金融政策のざっくりとした解説になります。
次回はもう一つの景気対策、財政政策についてお話ししたいと思います。
それでは今日はこの辺りで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。